解説:萩原博光 編:ワタリウム美術館『南方熊楠 菌類図譜』(新潮社、2017)

描かれたきのこ、メモ書き、実物の標本、実物やその胞子などが入った袋状の紙、それらが一枚の紙面において、ときには余白がほとんどないほどにひしめき合っています。おそらく、それぞれ配置されていった順番があったのでしょう。対象にせまる手段も、それを記録する方法も限られていたからこそ、その時々の視点や発見、つまりは書き手の動きまで感じられます。採集は、採集行為そのものが、ある形になると、不思議と単なる資料以上の価値を帯びてくるようなのです。採集と制作が、近づいていきます。
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