野尻抱影『星は周る』(平凡社、2015)

都会にいると、夜空を見上げても星はわずかしか見えないでしょう。周囲が明るいのかもしれないし、暗闇に目が慣れるほどにゆっくりと時間をかけて見上げていないのかもしれません。星々が見せてくれる光景は、素直に心動かされるし、星の並びと、そこから作り出されるイメージを見つけて、喜びを感じることもあるはずです。そんなふうに、星を眺めながら思索したり、時や季節の移ろいを感じたりすることが、できない、とはいかなることなのでしょうか。はるか昔から見られていた同じ星たちを思わずとも、自分には知っていることがあると言えてしまう。想像する力も、光のなかに消えていくのでしょうか。
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