よく言われているように、茶についての本だけれど、これを読めばお茶を点てられるようになるマニュアルではありません。茶を振る舞い、茶をいただく、そこにある様式や文化を発見します。茶のまわりには、建物が、庭が、花が、作法が、思想が、言い尽くせないほどの周辺までが関わり合っていたのです。たしかにそれは、堅苦しく、息苦しいかもしれません。しかし、振る舞い、いただく過程に、私たちが意識していない根底が現れているとすれば、一体いまは何者なのでしょうか。作法や型が、無理に高尚でなくたってきっと良い。生の術さえ見失わなければ。