石井桃子『家と庭と犬とねこ』(河出書房新社、2018)

からっと晴れた空。料理をしているときの視線。気持ちも、出てくる言葉も、かぎりなく湿度が低く、さっぱりと澄み切っているように感じられます。内側には、じっとりとした湿り気や、煮え返るほどの熱量があったとしても、見下ろしている空が、すっぽりとそれらを包み込んでしまうからでしょうか。 ─じぶんの波長を、ほかの人のなかに見いだすことが、人生の幸福の一つなんではないかしら─ 物語は、そんな晴れやかさと、落ち着きから、生まれてきたのかもしれません。
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