大地の高低差によって、眺めは異なり、それだけ意味合いも異なってきます。低地は、かつて海や川の水の底にあり、生命の歴史の時間軸においては、人が生活をし始めたのは最近のことなのかもしれません。起伏が多い場所もあるけれど、それ以上にたくさんの建物が林立しているからか、のっぺりと広がって感じられる東京の、複雑に入り江が入り込んだ姿を今とどう重ねたらよいのか、景色が揺らいできます。これほど人の手によって改変されてきたであろう土地も、意識せずともいつかの時代とつながっているのです。立ち上る湿気のなかで、空間が共存していきます。