建物や室内を改装するとき、まずはいまあるものを壊して取り外し、そのうえでこれまでのことなど無かったかのように、使われてきた手垢を残さず、新しい姿が与えられるのです。それでも、気がつかないところに、先にあった形が、その磁力が、働いているのではないでしょうか。新しく建てるときだって、同じでしょう。何もない、どことも関わりを持たない土地なんて無いのだから、そのときは見えなくても、地霊みたいな存在が隠れているのです。その声が聴こえると、一般的には否定されてしまう特徴でも、受け入れることができるのかもしれません。