ヴァルター・ベンヤミン 編集解説:佐々木基一『複製技術時代の芸術』(晶文社、1999)

うつすことで、何が生まれて、何が失われるのでしょうか。そのまままるごとコピーしたとしても、今まさに感じていたことがすべて再現されるわけではないし、反対に、元より鮮やかな体験にしてくれることもあります。写真や映像をはじめとした、うつす技術によって、一回限りの経験だったはずのものが、時間や場所を問わず展示されることが可能になったと言えます。そして、本物にしかない、本物たる所以の質があるとすれば、たしかにそれは見えにくくなったかもしれません。でも、本物という捏造もあり得るでしょう。芸術は、日常の技術になるのです。
TOPへ