秋山博美『コットンの刺繍糸ではじめる日本刺繍 小さな和の文様』(世界文化社、2019)

ふっくらと、糸の厚みの分だけ生地から盛り上がっていて、それが伝えるイメージより先に、そのものの形を愛でるように、見て触れて、楽しんでしまいます。なぜ刺繍は、描かれた絵よりも、ずっと印象的に目に映るのでしょうか。単純な形、単一の色でも、糸が布に通され、定着された様は、柔らかく繊細なものに感じられます。もちろん、絵には絵の、刺繍には刺繍の、必然があるでしょう。それでも、刺して描かれることで、生きものや草花、景色が、図案として抽象化され、存在感を増しているのかもしれません。
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