作品をつくるうえで、作者には何らかの、良し悪しの尺度や方法論があるはずです。それに基づいて、自ら手を動かしたり、協働者に指示を出したりします。いくつか作り続けて試行をしながら、だんだんと不要なことが削ぎ落とされて、手法が純化されていくとともに、その手法に自ら進んで押し込められてしまうような不自由さを感じることもあるでしょう。そのときの勢いや気分で、決めてしまったこともあるかもしれません。しかし、振り返ってみると、そのときの気分さえ言葉にして理解できます。他者の時間を遡ることは、新しさへの志向なのです。