赤坂憲雄『性食考』(岩波書店、2017)

交わることは、死に向かう、二つのいのちが、新しい多様ないのちをつないでいくための行為だと言えます。しかし、食べることもまた、交わることなのです。自分の外側にあるものを、口のなかに入れ、咀嚼してごくりと飲み込み、体内へと取り込む。食べることで、自分ではない他のものを殺しながら、一時的にひとつになるのです。相手を好ましいと思う気持ちを、食べたいという言葉で表すことがある不思議さに、生きものとしての必然が隠されているのかもしれません。
TOPへ