ル・コルビュジエ 訳:生田勉、樋口清『伽藍が白かったとき』(岩波書店、2007)

ずっと昔に、寺院が、結実された技術によって、そのころでは不可能とも言えるかたちに作り上げられたとします。いまでは薄汚れてしまったそれが、まだ輝きを放っていたのです。きっと、よろこびを持って迎えるものと、忌み嫌うものとがあったでしょう。歴史的な建物に囲まれた地にいた彼が、新しい時代を象徴した、摩天楼がたち並ぶ都市を訪れる。「かつて中世伽藍が白かったとき、高さが精神の堕落のしるしであるとは誰も考えなかった」と、Le Corbusierさんは言います。高さにさえ無頓着になり、臆病さを失ったとき、こころはどこに向かうのでしょうか。
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