植田実『真夜中の庭 物語にひそむ建築』(みすず書房、2011)

子どもの頃に、たくさんの本を読もうが読むまいが、どこかで見たり聞いたりしたことがある物語たち。子ども向けに書かれてはいるが、きっと書いたのは大人なのでしょう。幼い時代といまとの距離があるから、当時の記憶がところどころに顔を出しているのかもしれません。当然、記憶も曖昧だから、事実そのままではないでしょうし、夢や幻想だって入り混じっていきます。身体的な大きさの違いもあるから、子どもだけの空間的な体験もあるはずです。確かにあると感じている建築物が、読むひととのあいだで揺らいでいます。
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