港千尋『風景論 変貌する地球と日本の記憶』(中央公論新社、2018)

初めて訪れる場所で得られるあたらしい知見や、なじみの土地の印象ががらりと変わるような発見。地名や言い伝え、土木的な土地の改変、ひとびとの記憶といった、目には直接見えない層が、いまここで眺めることのできる風景には存在しています。たとえば、ひとが集まって暮らしている家並みには、家を作るための素材と技術、水などの生活に必要な物資の供給方法、階級や立場による棲み分けなどが表れているでしょう。いくつもの層が重なって、互いに変化しながら、風景がこうして在るのです。見過ごしてしまいがちな風景の経験を、ひとつひとつ確かめ、読み込み、考える、大切な時間です。
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