中東吉次『京 花背 美山荘の摘草料理』(淡交社、2018)

採る、というと、食べることを目的として、より多く選び集める運動として聞こえます。対して、摘む、というと、人差し指と親指で挟んでとれるだけ、たった一本か、ごくわずかを、味わいたのしむ様子がうかがえます。いきものが互いを糧として生きているように、野山のなかに分け入って、生殖を邪魔せずにそっと摘むのです。いまは日常的には食べることが難しい、ほんとうの自然の食材たち。癖のある味のものも少なくありません。下ごしらえにも手間がかかりますが、その過程、口にするまでの距離が、ひとと自然との適した関係かもしれません。
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