谷崎潤一郎『陰翳礼讃』(中央公論新社、1995)

明と暗、陽と陰、男と女、対になった言葉たち。それらを互いに比べてみれば、異なることは確かでしょう。そのどちらかを愛でて、もう一方をはね除けてしまうこともあります。しかし、相対するふたつの考えで、すべての領域を網羅できはしないし、常に双方が同じ領土を持っているわけではないと思います。片方に傾くこともあれば、もう片方に惹かれることもあります。大きな流れの中では、ひねくれものだと揶揄されるかもしれません。それでも、翳りのなかを手探りで、見捨てられているものを拾い出すのです。
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