古い集落では、土地に根ざした営みがあり、それが建物や町並みのかたちまで表出しています。いまの普段の暮らしとのその差に、かつてあったものへの郷愁にかられるでしょう。しかし、単に懐かしむだけのことなのでしょうか。自然に呼応した生活をする者にとって、建設者と農民とを区別する意味はありません。作物を育てることと、建物をつくり維持することは、生きるうえでどちらもなくてはならないことでした。生きるために変化することが必要だとすれば、いまは亡き暮らしから得る技術は、新しい生活様式へのきっかけになるかもしれません。