市川智子『愛と哀しみのル・コルビュジエ』(彰国社、2007)

建築家と住人は、作り/作られた建築を共有した、物語の登場人物と捉えられます。建築家は、求められた機能を備えた建築を作る技術者でした。同時に、家族や同僚との日常を生きてもいました。住人は、計画的に作られた箱の中に入りました。とはいえ様々な背景を抱え、住む場所への要求を持っているので、建築家の思い通りになるほど聞き分けが良くはありませんでした。そうして使われていった建築は、建築家と住人の、そのどちらだけのものでもない、あいだの存在になりました。建築はいつだって、あいだに在って、愛も哀しみも受け止めてくれるのです。
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