ヤニス・クセナキス 編訳:高橋悠治『音楽と建築』(河出書房新社、2017)

「煙は分子からなり、それらの無秩序な運動は統計学の法則にしたがって、激しく豊かな動きをもった面や立体のように感じられる」とIannis Xenakisさんは記しています。そうした面や立体は、はっきりと輪郭が記憶できるような認識には至らない、にもかかわらず曖昧なまま識別できるのでしょう。たとえば、空に浮かんでいる雲もそうです。気流によって絶えずその形を変えていて、個として区別し難いように互いに混ざり合っています。その内部に荒れた激しい気象を抱いて、音の雲はぽっかりと漂います。
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