鈴木了二『寝そべる建築』(みすず書房、2014)

建築は字のごとく「建/立つ」ものだと考えられています。象徴的に屹立してこそ、建築なのだと。立っている建築には時が流れ、出来上がった瞬間から荒廃していく過程があり、やがて廃墟となります。もし、建築が横たわって、ぼんやりとまどろんでいるとしたらどうでしょうか。立つことを断念すると、うたた寝のような、時間から免れた広がりに至ります。膨らんだり縮んだりする、この広がりの中で、建築がただそこにあります。茫然自失として、ぽっかりと穴のあいた時空間に、物質がごろりと現れてくるのです。
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