邦訳された本書は、エッセイの集合、基本的には文字だけで構成されています。原著は、厚さ約7センチの大型本で、画像と言葉の物量に圧倒される内容でした。題名のアルファベットは、服などに用いられるサイズの大小を示す記号と思われ、本の中でも「ビッグネス(大きいこと)」という用語に目が行きます。字のまま、かつてない高さと奥行を獲得した建築の性質と読めますが、ビッグネスの前では建築の外観、設備機能、周辺環境との関係性など、そのいずれも考え方の変更を迫られます。つまり、原著との出会いも、このビッグネスとの接触として作られていたのでしょう。本が小さくなり、言葉と向き合えるいま、冷静に巨大さを読み解く必要があるかもしれません。