本を開いてその世界に飛び込むと、何やらほこりっぽい、そんな気がするのです。本の世界が日常と遠ければ遠いほど、それは一層強く感じられます。そもそも古い本なら、本自体が埃っぽいでしょうし、読んでいるのが狭くて暗い屋根裏部屋や押入れの中だったかもしれません。そう、幼い頃に空想へと導いてくれたのは、ちりやほこりだったのではないでしょうか。ファージョンは言います、「ちりから生まれたこの本の物語が示すように、わたくしにはそれ(空想)とこれ(事実)との区別がつかない」と。積もったほこりが、静かに語り出します。