短編だと身構えずに読み始めることができるのではないでしょうか。まず、目次を見て、気になるタイトルのものを選んで頁を開いてみるのかもしれません。数頁か数十頁の短い作品において、登場する人物やその置かれている状況に、どこか違和感を感じつつも、不思議と受け入れてしまうでしょう。そして、その短さ故に、書かれた言葉と読むひととの間に、不意に現れる情景の豊かさに驚かされます。たくさんのひとの、あり得たかもしれないたくさんの生き方。それを想像や虚構にすぎないとは言えないはずです。
カレル・チャペック 訳：田才益夫『カレル・チャペック短編集』
