阿部海太『みち』(リトルモア、2016)
各頁の左から右に向かって道が描かれ、その道を行くふたりが描か
れています。ふたりを俯瞰するかたちで、読むひともその道を進み
ます。画材の肌理まで見えるので、本のサイズそのままの絵なの
か、それともずっと大きな絵の一部が切り取られているのかが判然
としません。むしろ後者のように感じ、目前の絵よりも大きな広が
りを想像します。確かな道を行くふたりとは違い、読むひとはその
広がりの中で孤独に浮遊しているのです。さて、ふたりはどのよう
な道を行くのか、そして自分たちはどのような道を行くのでしょうか。