フランス、ソローニュにあるラ・ボルド精神病院に滞在して撮影された写真集です。ページをめくると、写真家の田村尚子さんが居て、見つめているその場所や空気に包まれて、自分もそこに立っているような感じがします。また、プリントされた紙の質感や色に変化がつけられていて、映画を観ているような、たゆたう時間の蓄積を味わうことができます。例えば、患者を「患者」として対象を固定化して物象化せずに拒み、認識が変わるとき、「何が正常か」という田村尚子さんの問いが目前に現れてくるでしょう。